PARIS パリ FEDORA より

元フランス航空会社CA  パリからの便り  パリ フランスの生活 オペラ 旅行 ファッション レストラン ショッピング・・・わたしの好きなこと!

今日の一曲 「さようなら マエストロ Claudio Abbado」 

 

ums_photos_02515-500x333.jpg

昨日楽しいコンサートの話を書いたばかりでした。
夏以降コンサートをキャンセルされ、秋の来日もキャンセルされたのは知っていましたが、まさかこんなに急にお別れすることになるとは思いませんでした。
オペラでも何度か見る機会がありましたが、わたしが最後に見ることが出来たコンサートは2年前のサルプレイエル。マーラー9番。たしかにあのとき主人に「この先何度も見られるかどうかわからないから、アバドさんのマーラー9番は行こう」と言った憶えがあります。
マーラー9番の最後のアダージオは消えるように演奏が終了するものですが、その最後の音のあとにアバドさんはその余韻も音楽の一部と、最後の5分くらいからホールの照明を落とされ、最後の音のあとも腕を上げられたまま、そして彼が腕を下げ指揮棒を胸に当てられ、振り向かれて初めて観客は拍手を許される、といった一種の儀式のようになっているのも、有名な話でした。なにか神がかっていると言おうか、なんともいえないエネルギーを感じるのは彼の指揮ならではでした。同じ時期に昨日のデュダメルやゲルギエフでも聴いているのですが、この静寂はアバドだけでした。
なにか長い人生を生きた人、胃癌から生還した彼ならではの死生観といおうか、なにか普通ではないものを生でなくても映像ですらも感じる彼の指揮でした。
この数年間は命とぎりぎりのところで振っていらしたのかも、知れません。
この日、フランス人の観客はやたら咳をしたり、しちゃいけないところで拍手をしたり、マナーという意味ではいまいちですので、そのあたりをちょっぴり不安に出かけました。
その日その最後、サルプレイエルは40秒ほども静まり返ったままでした。アバドさんが振り返るところまでは待てませんでしたが、彼が左腕を上げていらっしゃる間は観客は静寂しつづけました。アバドさんのこのやり方を知っている通がたくさん会場にいたのかもしれません。ちゃんと明かりも暗くなりました。
わたしは素晴らしい音楽もさることながら、観客の音楽とマエストロへの愛、敬意にも感動して涙ぐんだのを憶えています。

今夜わたしはパレロワイヤル劇場でのバリトン歌手Dimitri Hvorostovskyさんのリサイタルに出かけました。冒頭彼は拍手を制して「偉大なマエストロ アバドのためにご一緒に1分間の黙祷をお願いします」と会場に呼びかけました。そのあとのチャイコフスキーのリーダーは、涙が止まりませんでした。周りの方たちも皆泣いておられました。

マエストロをご存知だった方も、ご存知でなかった方も、もし25分ほどありましたら、夜休む前にでもこちらのマーラー9番のアダージオをお聴き下さい。
そして最後の数十秒間(23分40秒あたりから)彼の左腕が空間にある間、天に召された偉大なマエストロにとっての「静けさ」を一緒に感じていただけたらと、思います。

http://www.youtube.com/watch?v=yqRiq8uny3o
関連記事

category: 音楽 MUSIQUE

tb: 0   cm: 0

△top

コメント

 

△top

コメントの投稿

 

Secret

△top

トラックバック

 

トラックバックURL
→http://aparisavecfedora.blog.fc2.com/tb.php/62-fc5dddb0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

△top