PARIS パリ FEDORA より

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カリブ海と「それでも夜は明ける」 

 

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さて、このリゾートはその客層の9割がイギリス人なんですね。家族連れもたくさんですが、そこはイギリス。そこら中子供が走り回ったり騒ぐようなことはありません。日中キッズクラブといって子供を預けられる、そこでは色々なアクティビティが用意されていて、子供達もその方が親といるよりも楽しい、といったサービスもあるので大人達はビーチでのんびり。
ホテルも中心にあるレストランをはさんで、片側には小さな子供を連れたファミリー、別の側にはカップルなど、そういう部屋の配分にも気を遣ってくれています。これは静けさのためだけでなく、子供達同士が一緒に遊んだり、それを見る大人たちも知り合いになったり、と良い効果を生んでいるように思います。
そして毎日午後の3時を過ぎたころには、ホテルのどこにいるお客さんにもアフタヌーンティーが供されます。わたしたちはビーチで何度かいただきましたが、これもイギリスの習慣、イギリス人が多いリゾートならではですね。
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他のカリブの島ではアメリカ人の多いサントドミンゴやアンギーラにも訪れたことがありますが、やはりアメリカとイギリスの間には同じ英語圏ながら、大きな違いがあります。このリゾートはジェントルマンのリゾート。
オールインクルーシブ(お食事も飲み物もすべて含まれている)ではあっても、散々飲んで酔っ払って大騒ぎをするアメリカ人のようなことは、このリゾートには一切ありませんでした。もちろんそれなりのリゾートだったということでは、ありますが。
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とにかく静かに過せた一週間でした。
でもなんだろう?何かが、何か「居心地の悪さ」みたいな小さな何かが、ずっとわたしの心にひっかかったままだったのですが・・・

その帰りの機内で、わたしたちは今年のアカデミー作品賞を取った「それでも夜は明ける」を観てしまったんですね。
12 YEARS A SLAVE
http://yo-akeru.gaga.ne.jp/
みなさんはこの映画をご覧になりましたか?
「とてもいい映画だった!」と一言では言い切れない、重い映画でした。そしてこの映画を見た時に、今更ながら、わたしたちの休暇について、そして何かわたしの中にひっかかっていたもの、について思ったのです。
このイギリス人がほとんどの素晴らしいリゾート。その客層は99%が白人でした。(1%はわたしね)そしてホテルの従業員は100%が黒人でした。このホテルは社員教育が徹底しているのか、その従業員の一人として、何かその人種差のようなものを感じさせることはありませんでした。
が、この映画(実在した話)を見た時に、実はこの映画の時代と何も変わっていないのではないか、と。この映画で起きたようなことは現在この場所で起きることは無いけれど、それでも白人に奉仕する黒人という図は、まるで変わっていないではないか、と。
そしてわたしが何か心にひっかかっていたもの、それはそのことだったのだと、機内で気付いたわけです。
世界中で今日も国、人種、宗教間の差別、争いは途絶えることなく、続いています。
でも「奴隷」というこの言葉。この事実。白人が「黒人だというだけで」黒人を扱ったこの過去の事実、これは白人のみがした過ちでは無かったでしょうか。戦争という場、時においては、どの人間も狂った行動を取って来た(取り続けている)と思いますが、肌の色の違いで、人格を奪い、奴隷とした人種は白人以外にはいるでしょうか。
今回わたしはこのホテルに何か「偽善」を感じていた、と今思うのです。「平和なふりをしている偽善」「今はもう世界は変わってこうしてうまくやっていけるんだよという偽善」それは白人が思っている偽善であって、現地の人々は決して忘れたこともなければ、今もその過去を抱えて生き続けているのではないかと。
こうして美しい海を求めて遠くから白人がやって来て、たくさんのお金を落として行ってくれて、それで自分たちの生活が潤うから、努力をしているだけ。でも多分誰も、今の若い世代も、肌の色のせいで、決して忘れることは無いことを抱えて生きているのではないか、と思ったのです。そしてそれは現地の人たちの瞳の中に、何か見えるようだったのです。
ホテルの従業員たちは素晴らしかった。すれ違えばにっこりし話もする。でもホテルを出た途端のタクシーの運転手さんは一言も話さず沈黙のまま空港へ、そして空港で働く人たち、その人たちの表情には何の感情もなく微笑みもない。
「それでも夜は明ける」を観た主人もわたしも、その後話し合うことはありませんでした。何も話さないまま、パリに着いたけれど、白人の主人はただ一言「こういう休暇のあとに観るには辛い映画だったなあ」と溜息と共に言いました。
あのリゾートにいたイギリス人はなにか感じていたでしょうか?
もしかするとそれは、わたしが中国や韓国を訪れたときに、値切って安い買物をしたり、足のマッサージなどのサービスを受けたとき、ちょっぴり心に感じる「うしろめたさ」みたいなもの。それに似たものだったでしょうか?
それとも、もともと奴隷として黒人を扱えた白人の子孫だから、やっぱり当たり前のように思っていただけだったでしょうか?

今までいろいろな国のリゾートへ出かけました。その中には貧しい国も、人種の混じった国も、国自体が安定していないような場所もありました。もちろんそういったことを感じないことはありませんでした。
わたしたちのホテル一泊分のお金で一家が一ヶ月暮らしているようなタイや、いくつもバスを乗り継いで学校に通っている子供達が雨の中道路脇に立つモーリシャス、今もフランス軍が居続けるタヒチやヌーメア、女性を街中で見ることの無いモロッコやトルコやエジプト・・・
複雑な思いを感じる旅先はいくつもありました。
ただ今回の休暇は、今でもなにかしっくり来ない、なにか消化できないもののある、美しかったけどなにか心が傷むようなものが、残った旅でした。
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コメント

 

私も。

毎日、灼熱の日本です。
暑いよー。Fedoraさん、お元気?
奇遇にも、私も先日、オアフ行って同じような複雑な経験をしたよ。
街には黒人のご家族が溢れてるのに、ホテルのプールには誰もいなかった。
子供の姿すら見なかった。
プールサイドのチェアで、
生後数ヶ月の赤ちゃんを愛おしそうに抱っこしたお父さんを一回見ただけ(T . T)
プールへ入っちゃダメなんでしょう?
軍のシャワールームも別々だとか?

なんだかね、平和を装っていても、それは表面だけ。
深層には根深く変わらないものがまだドロドロと流れてるんだよね。

その映画観てみる。

睡蓮 #xHhXvU/Y | URL | 2014/07/27 04:36 | edit

コメントをありがとう♫
またゆっくり話そうねー

#- | URL | 2014/07/29 09:49 | edit

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